長崎で店をやっていると、韓国語や英語を耳にする機会が増えたと感じていないでしょうか。その感覚は、県の統計でも裏付けられます。
結論から書きます。長崎県に泊まる外国人のうち、韓国のお客様が38.8%を占め、2025年は前年より29.6%増えました。もう一つの特徴が、クルーズ船で訪れる日帰りのお客様(以下、クルーズ客)です。長崎の店にとっては、韓国の旅行者が店を探す場所に情報を置くことと、限られた時間で街を回るクルーズ客に見つけてもらうこと。この二つが入口になります。
数字はすべて長崎県・観光庁・日本政府観光局(JNTO)の公表資料から引いています。
長崎県の外国人宿泊客は、2025年に18.7%増えました
まず規模からです。長崎県の観光統計では、2025年の県内の外国人延べ宿泊客は86万8,945人でした。前年の73万2,186人から18.7%増えています(出典: 長崎県「令和7年 長崎県観光統計」)。県は増加の理由に、長崎とソウルを結ぶ空の便、対馬と釜山を結ぶ船の便の増加、円安などを挙げています。
他県と比べる時は、観光庁の調査が目安になります。2025年に長崎県を訪れた訪日外国人は42.2万人でした。訪問率は1.03%で、全国26位です(出典: 観光庁「インバウンド消費動向調査」2025年暦年 都道府県別集計表)。
顔ぶれは、韓国が約4割。アメリカと台湾が続きます
同じ県の統計で、2025年の国・地域別の外国人延べ宿泊客を並べると次のとおりです(出典: 長崎県「令和7年 長崎県観光統計」。構成比は本記事で計算)。
- 1位 韓国……33万6,816人(38.8%)
- 2位 アメリカ……9万3,372人(10.7%)
- 3位 台湾……9万1,751人(10.6%)
- 4位 中国……6万5,467人(7.5%)
- 5位 香港……3万4,049人(3.9%)
ヨーロッパ全体では7万7,415人(8.9%)で、前年より42.0%増えました。
全国の訪日客と比べると、違いがはっきりします。JNTOの統計をもとに計算すると、2025年の訪日客の22.2%が韓国、15.8%が台湾、21.3%が中国でした(出典: JNTO「国籍/月別 訪日外客数」)。数え方が違うため単純には比べられませんが、長崎では韓国の比重が全国より高く、アメリカが台湾と並ぶ規模になっています。
韓国は空と海の両方から増えています
前年からの伸びを見ると、韓国が29.6%増、中国が36.4%増でした。一方、台湾は3.8%減、香港は26.6%減です(出典: 長崎県「令和7年 長崎県観光統計」)。
韓国からは、空と海の二つの経路があります。県の統計では、対馬市の延べ宿泊客が前年より21.7%増えました。県は、釜山と対馬を結ぶ航路で運航を再開した会社があり、便数が増えたことを理由に挙げています。韓国のお客様は、離島にも来ています。
2026年の全国の流れも見ておきます。JNTOの推計では、2026年1〜9月の訪日客は、韓国が21.6%増、台湾が19.1%増でした。中国は55.5%減です(出典: JNTO「訪日外客数(2026年9月推計値)」)。長崎で数の多い韓国は、全国でも伸びが続いています。
クルーズ船の寄港は、1年で約100隻増えました
長崎ならではの事情が、クルーズ船です。県の統計では、2025年に県内の港へ寄港したクルーズ客船は346隻でした(前年は247隻)。乗客と乗員は合わせて89万5,734人です(出典: 長崎県「令和7年 長崎県観光統計」)。
港別では、長崎港への外航クルーズ船の寄港が197隻、佐世保港が128隻でした。佐世保港の寄港数は過去最多です(出典: 長崎県「クルーズ客船寄港実績(平成21年-)」)。
クルーズ客は、港に着いてから出航までの限られた時間で街を回ります。県も、国際クルーズ客船の寄港の増加を日帰り客が増えた理由に挙げています。長崎市と佐世保市の店にとっては、昼の時間帯に短い時間で食事を済ませたいお客様が、まとまって来る日があるということです。なお、県の統計ではクルーズ船の乗客の国籍までは分かりません。
空の玄関口は、いまはソウル線が中心です
長崎空港の国際線の時刻表(2026年10月25日〜11月30日)を見ると、運航しているのはソウル(仁川)線で、月・火・木・土の週4往復です。上海線は10〜11月の全便が欠航、釜山線は運休中と案内されています(出典: 長崎空港「月間時刻表(国際線)」)。
韓国のお客様にとって、長崎は直行便で来られる旅先です。運航する曜日が決まっているので、到着日とその翌日の来店の動きを見ておくと、仕込みや人手の準備に役立ちます。中国からの空の便は止まっており、中国のお客様をあてにした計画は立てにくい状況です。
店を探す場所は、国によって分かれます
観光庁は、出発前に役に立った情報源を国籍別に集計しています(出典: 観光庁「インバウンド消費動向調査 2025年 年次報告書」)。長崎で多い国を並べます。
- 韓国……1位 SNS47.1%、2位 動画サイト43.8%、3位 個人のブログ42.9%
- アメリカ……1位 動画サイト43.0%、2位 自国の親族・知人35.6%、3位 SNS35.4%。口コミサイト(トリップアドバイザー等)も18.6%
- 台湾……1位 動画サイト45.5%、2位 SNS42.7%
韓国は、個人のブログが4割を超えるのが特徴です。韓国の旅行者は訪日前にNAVER(韓国最大級の検索・口コミ媒体)で店を調べるため、NAVERブログの来店記事が入口になります。同じ報告書では、韓国の旅行者が日本滞在中に役に立った情報の1位が「飲食店」(56.5%)でした。
アメリカは、動画サイトと口コミサイトが目立ちます。地図アプリや口コミサイトに英語の口コミがあることが、店を選んでもらう手がかりになります。アメリカの旅行者も、滞在中に役に立った情報の2位が「飲食店」(60.8%)でした。
長崎の飲食店は、この順番で進めると迷いません
- 韓国向けの入口を最初に作る。外国人宿泊客の約4割を占め、2025年も大きく伸びた市場です。NAVERブログに来店記事が載ると、検索した旅行者の目に触れます
- 地図アプリの店舗情報を最新にする。営業時間・定休日・写真を整え、英語の説明も添えます。クルーズ客やアメリカのお客様が、街を歩きながら近くの店を探す時の土台になります
- クルーズ船の寄港日を把握する。寄港日の昼は、来店が重なることがあります。短い時間で注文できる品や英語の案内を用意しておきます
- 台湾向けにSNSの入口を作る。2025年は前年より減りましたが、宿泊客の1割を占める市場です。Instagramなどで、料理の写真や店の雰囲気が伝わる投稿を見つけてもらえる状態にします
- 成果を測る。来店客に国籍を聞き、月ごとに記録します。どの入口が効いているかが見えると、次の一手を選べます
まとめ——長崎は「韓国が軸、クルーズ客が上乗せ」の県です
長崎県の外国人延べ宿泊客は2025年に86.9万人となり、前年より18.7%増えました。韓国が38.8%を占め、空の便と対馬の航路の両方から増えています。これに、1年で346隻まで増えたクルーズ船の日帰り客が加わります。
まずはNAVERブログで韓国のお客様に見つけてもらうこと。そのうえで地図アプリの情報を整え、クルーズ客やアメリカのお客様にも見つけてもらうこと。この順番が、長崎の店にとって無理のない進め方です。
RED BOOSTは、韓国のNAVERブログや台湾・香港のInstagramなど、アジアの旅行者が店を探す媒体での来店PRを支援しています。長崎の店舗様からのご相談も承っています。
この記事は、飲食店のインバウンド集客を支援する
RED BOOST が、公的統計や公式資料をもとにまとめたものです。数字は「参考・出典」のリンク先で確認できます。
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