東京は、外国人のお客様が最も多く訪れる街です。そして、外国人のお客様にとって食事は旅の中心にあります。条件だけを見れば、東京の飲食店はインバウンド集客で最も恵まれた立場にいます。
ところが現場の声は違います。「外国人は街にあふれているのに、うちには来ない」。理由ははっきりしていて、東京は訪れる人も多いが、選ばれる候補の店も非常に多いからです。人が多いことと、自分の店が選ばれることは別の話です。
本記事では、東京都と観光庁が公表している統計をもとに、東京に来る外国人がどこを歩き、何をきっかけに東京を選び、どこで店を探しているのかを国別に整理します。そのうえで、東京の飲食店が選ばれる側に回るための順番を示します。
東京は、訪日客の2人に1人が訪れる街です
まず母数です。観光庁のインバウンド消費動向調査によると、2025年に東京都を訪れた訪日外国人は2,089.2万人、訪日客全体に占める訪問率は50.8%でした。47都道府県で最も高く、2位の大阪府(41.3%)を上回ります(出典: 観光庁「インバウンド消費動向調査」2025年暦年 都道府県別集計表)。
東京都が独自に推計した数字もあります。2025年に東京を訪れた外国人旅行者は約2,865万人で、前年比15.6%増の過去最高でした(出典: 東京都「2025年(令和7年)東京都観光客数等実態調査」)。二つの数字は推計の方法が違うため一致しませんが、どちらも「東京に来る外国人は増え続けている」ことを示しています。
訪都客の9割近くが「日本食」を楽しんでいます
次に、東京に来た人が何をしているかです。東京都の2025年の調査では、訪都中に行った活動の1位は「日本食を楽しむ」で89.0%でした。2位の買い物(62.7%)を大きく引き離しています(出典: 東京都「令和7年 国・地域別外国人旅行者行動特性調査」)。
同じ調査で、東京を旅行先に決めるうえで食事が「最も重要」「とても重要」「重要」と答えた人は合わせて80.8%でした。項目別の満足度でも「食事施設」が83.2%で最も高くなっています。
つまり、外国人のお客様のほとんどが、東京で日本食を食べることを予定に入れています。問題は、その一食が自分の店になるかどうかです。東京ではその候補が非常に多く、何もしなければ、検索結果や投稿でよく目にする店に流れていきます。
国によって、東京で歩く街が違います
東京の飲食店が最初に確かめたいのは、自分の店がある街に、どの国の人が来ているかです。同じ東京都の調査では、訪問した場所の上位が国ごとに入れ替わります。
- 韓国……1位は渋谷(53.3%)、次いで銀座(47.3%)、新宿・大久保(46.3%)
- 台湾……1位は東京駅周辺・丸の内・日本橋(49.4%)、次いで浅草(49.2%)、上野(45.7%)
- 香港……1位は新宿・大久保(54.6%)、次いで銀座(50.0%)、渋谷(49.7%)
- 中国……1位は銀座(62.3%)、次いで渋谷(54.7%)、秋葉原(50.3%)
全体では渋谷(60.3%)が1位ですが、台湾の人は東京駅周辺や浅草・上野など東側の街をよく歩いています。店のある街で多く見かける国籍を手がかりに、狙う市場の候補を絞り込めます。
2026年は、市場ごとの動きが割れています
狙う市場を決めるときは、いまの流れも見ておく必要があります。JNTOの推計によると、2026年1〜7月の訪日外客数は24,527,200人で、前年同期比1.7%減でした(出典: JNTO「訪日外客数(2026年7月推計値)」)。市場別では次のとおりです。
- 韓国……6,569,800人(前年同期比20.3%増)
- 台湾……4,736,000人(同21.8%増)
- 米国……2,107,900人(同6.5%増)
- 香港……1,571,000人(同8.6%増)
- 中国……2,486,500人(同56.3%減)
韓国と台湾が2割前後伸びる一方、中国は半分以下になりました。一つの市場だけを頼りにした集客は、その市場の事情ひとつで揺れます。伸びている市場に露出を作りつつ、複数の市場に分けておくことが守りにもなります。
東京を選んだ「きっかけ」も、国ごとに違います
東京都の調査は、東京を訪れたきっかけも国別に集計しています(出典: 東京都「令和7年 国・地域別外国人旅行者行動特性調査」報告書)。
- 台湾……動画サイト50.1%、SNS41.4%、個人のブログ26.1%
- 香港……動画サイト47.3%、SNS37.5%
- 中国……SNS38.6%が1位
- 韓国……「以前訪問して良かった」23.5%が1位
台湾・香港・中国は、誰かの投稿や動画を見て東京に来ています。韓国は、一度来て気に入った人がまた来るという色が濃い市場です。調査全体でも、2回目以上の訪問者が54.6%と半数を超えました。
リピーターは、有名な定番店の次を探しています。二度目、三度目の東京で行く店を探している人の目に入れるかどうかが、東京の個人店にとっての狙い目になります。
店を探すときに開くアプリも、国ごとに違います
観光庁の2025年の年次報告書では、出発前に役に立った旅行情報源を国別に集計しています。全国籍の平均ではSNSが43.3%、動画サイトが39.6%、個人のブログが23.9%でした。「個人のブログ」を挙げた韓国の旅行者は42.9%で、平均のおよそ1.8倍です。台湾は29.0%、香港は15.4%、中国は14.8%でした(出典: 観光庁「インバウンド消費動向調査 2025年 年次報告書」)。
これを店探しの入口に置き換えると、次のようになります。
- 韓国……NAVER(韓国最大級の検索・口コミ媒体)で調べ、NAVERブログの体験記事を読んで決めます
- 台湾・香港……Instagramが中心です。繁体字の投稿やリール動画が読まれます
- 中国本土……Google・Instagramが原則使えません。RED(小紅書。発見のためのSNS)で見つけ、大衆点評(口コミ・地図アプリ)で確かめます
Googleマップを整えるだけでは、この入口の一部にしか立てません。東京の飲食店向けの考え方は東京のインバウンド集客のページでも整理しています。
東京の飲食店は、この順番で進めると迷いません
- 店のある街に来ている国を確かめる……渋谷・銀座・浅草など、街ごとに多い国籍は違います
- 狙う市場を2つに絞る……街の顔ぶれと、伸びている市場を掛け合わせます
- その市場の媒体に、その国の言葉の体験記事を置く……韓国ならNAVER、台湾・香港ならInstagram、中国ならREDと大衆点評です
- 受け入れの整備を並行させる……多言語メニューや決済は、来店が増えてからでは間に合いません
- 反応を見て寄せる……効いている市場に力を移していきます
東京では、情報が一つ二つあるだけでは候補の中に埋もれます。店の告知より、実際に来店した人が現地の言葉で書いた記事が複数あることが、選ばれる理由になります。
まとめ——東京は「どの国の、どの入口に立つか」で差がつきます
東京は訪日客の2人に1人が訪れ、9割近くが日本食を楽しむ街です。食事の需要は十分にあります。一方で店の数も多く、選ばれるかどうかは、狙う国の人が見ている場所に店の情報があるかで決まります。
歩く街も、東京を選んだきっかけも、店を探すアプリも、国ごとに違います。自分の店の立地から狙う市場を決め、その市場の入口に記事を積んでいくのが近道です。
RED BOOSTは、韓国のNAVERブロガー、台湾・香港のInstagramクリエイター、中国のREDインフルエンサーによる来店型PRと、大衆点評の登録・運用支援を行っています。どの市場から始めるか決める段階でもご相談ください。