大阪で店をやっていると、外国人のお客様が増えたことは肌で感じます。ただ「どの国のお客様を狙うか」まで決めている店は多くありません。英語メニューを置き、決済を整えたところで止まってしまう店をよく見かけます。
ここを決めないと、次の一手が選べません。どの国を狙うかが決まって初めて、どの媒体に載せるかが決まるからです。韓国のお客様と中国のお客様では、店を探すときに開くアプリがそもそも違います。
本記事では、大阪を訪れる外国人の国別データを公的統計から読み解き、そこから逆算して媒体の選び方までをつなげます。数字はすべて観光庁・大阪府・日本政府観光局(JNTO)の公表資料から引いています。
大阪は、訪日客の4割超が立ち寄る街です
まず全体像です。観光庁のインバウンド消費動向調査によると、2025年に大阪府を訪れた訪日外国人は1,699.6万人、訪日客全体に占める訪問率は41.3%でした。東京都の50.8%に次ぐ2位です(出典: 観光庁「インバウンド消費動向調査」2025年暦年 都道府県別集計表)。
3位以下は千葉県35.1%、京都府29.7%と続きます。訪日客のおよそ4割が大阪府内のどこかで時間を使っている、ということです。食事の回数に置き換えれば、それだけの人数が大阪で何かを食べています。
大阪府の集計では、来阪外国人旅行者数は2019年の1,152.5万人から2024年には1,409.4万人へ増えました(クルーズ客を除く。出典: 大阪府「観光統計調査」)。コロナ前の水準を超えたところから、さらに伸びている局面です。
母数は十分にあります。問題は、その母数のなかで自分の店が見つかっているかどうかです。
大阪に来る人の国別構成は、日本全体とは違います
ここからが本題です。大阪府が公表している2024年の集計では、来阪外国人旅行者の国・地域別の内訳は次のとおりです(クルーズ客を除く。出典: 大阪府「来阪外国人旅行者数(2024年)」)。
- 中国……3,293,344人(23.4%)
- 韓国……2,699,362人(19.2%)
- 台湾……1,538,848人(10.9%)
- 米国……1,094,349人(7.8%)
- 香港……821,455人(5.8%)
同じ資料に載る全国の数字と並べると、順位が入れ替わります。日本全体で最も多いのは韓国(24.7%)で、中国は17.2%です。ところが大阪では中国が最も多く、韓国がそれに続きます。
この表には国ごとの訪日外国人旅行者数も載っています。来阪数をその数で割ると、市場ごとの相性が見えます。中国は訪日6,110,349人のうち3,293,344人が来阪しており、半数以上が大阪に立ち寄っている計算です。香港と韓国は約31%、台湾は約27%でした。
中国・韓国・台湾・香港の4市場を足すと、来阪外国人のおよそ59%を占めます。大阪の飲食店にとって、東アジアの4市場は一部の客層ではなく主役です。
2026年に起きている変化を、先に知っておいてください
ここで注意が要ります。市場の構成は固定ではありません。JNTOの推計によると、2026年1〜7月の訪日外客数は24,527,200人で、前年同期比1.7%減でした(出典: JNTO「訪日外客数(2026年7月推計値)」)。市場別では動きが割れています。
- 韓国……6,569,800人(前年同期比20.3%増)
- 台湾……4,736,000人(同21.8%増)
- 香港……1,571,000人(同8.6%増)
- 中国……2,486,500人(同56.3%減)
中国市場が半分以下になった一方、韓国・台湾・香港は二桁前後の伸びを見せています。
この変化は、大阪の飲食店にとって全国平均より重い意味を持ちます。前の章で見たとおり、大阪はもともと中国比率が全国より高い街だからです。一つの市場に寄りかかった集客は、その市場の事情ひとつで揺れます。韓国・台湾・香港にも同時に露出を作っておくことが、そのまま守りになります。
見つけてもらう場所は、国ごとにまったく違います
狙う市場が決まったら、次は媒体です。ここで多くの店がつまずきます。日本の感覚だと「Googleマップと食べログを整えれば足りる」と考えがちですが、海外のお客様は別の場所を見ています。
- 韓国……NAVER(韓国最大級の検索・口コミ媒体)で調べます。とくにNAVERブログの体験記事が効きます
- 台湾・香港……Instagramが中心です。繁体字で書かれた投稿が読まれます
- 中国本土……Google・Instagramが原則使えません。RED(小紅書。発見のためのSNS)で見つけ、大衆点評(口コミ・地図アプリ)で確かめます
つまり、中国のお客様に対してはGoogleマップをどれだけ磨いても届きません。同じように、韓国のお客様に日本語や英語の情報だけを用意しても、検索の入口に立てていないことになります。
大阪の店は、来る国の幅が広いぶん、媒体もひとつでは足りません。詳しくは大阪の飲食店向けインバウンド集客のページでも整理しています。
韓国のお客様は、いまも「ブログ」で店を決めています
媒体の選び方を裏づける数字があります。観光庁の2025年の年次報告書では、出発前に役に立った旅行情報源を国別に集計しています(出典: 観光庁「インバウンド消費動向調査 2025年 年次報告書」)。「個人のブログ」を挙げた人の割合は、市場によってこれだけ開きます。
- 韓国……42.9%(3位)
- 台湾……29.0%(3位)
- 香港……15.4%(4位)
- 中国……14.8%(4位)
- 全国籍・地域の平均……23.9%
韓国は平均のおよそ1.8倍です。韓国の旅行者が「맛집(マッチプ=うまい店)」を探すとき、NAVERブログに並ぶ体験記事を読み込んでから行き先を決める習慣が、数字にも表れています。
ちなみに全国籍の平均では、SNSが43.3%、動画サイトが39.6%と上位を占めます。旅行前の意思決定は、公式サイトやパンフレットではなく、誰かの投稿の中で起きているということです。
大阪の飲食店が、この順番で進めると迷いません
ここまでの内容を実務の順番に落とします。
- 狙う市場を2つに絞る……伸びている市場と、看板料理が刺さる市場を掛け合わせます
- その市場の媒体に店の情報を置く……韓国ならNAVER、台湾・香港ならInstagram、中国ならREDと大衆点評です
- 現地の言葉の体験記事を増やす……店の告知より、来店した人が書いた記事が読まれます
- 受け入れ整備を並行させる……多言語メニューや決済は、来店が増えてからでは間に合いません
- 反応を見て寄せる……効いている市場に力を移していきます
順番が大事です。受け入れ整備だけを進めると、来た人の満足度は上がっても、来る人の数は変わりません。露出だけを進めると、来る人は増えても、迎える体制が追いつきません。両輪で回すのが現実的です。
まとめ——大阪は「どの市場を選ぶか」で差がつきます
大阪は訪日客の4割超が訪れる街で、母数は十分にあります。一方で国別の構成は日本全体とずれており、東アジアの4市場だけでおよそ6割を占めます。そして2026年に入り、その内訳は動いています。
やることは複雑ではありません。狙う市場を決め、その市場の人が見ている場所に、その国の言葉で読める記事を積むことです。Googleマップの整備は欧米豪や一部の東アジア市場には効きますが、それだけでは4市場すべてには届きません。
RED BOOSTは、韓国のNAVERブロガー、台湾・香港のInstagramクリエイター、中国のREDインフルエンサーによる来店型PRと、大衆点評の登録・運用支援を行っています。どの市場から手をつけるか迷っている段階でもご相談ください。