広島で店をやっていると、欧米の旅行者をよく見かけるはずです。その感覚は統計でも裏付けられます。
結論から書きます。広島県を訪れる外国人観光客は、北米・ヨーロッパ・オセアニア(以下、欧米豪)の主要国が56.3%を占めます。一方で、全国では訪日客の2割強を占める韓国が、広島県では4.7%にとどまります。大阪や福岡と同じ順番で対策を進めると、いちばん多いお客様への入口が後回しになりかねません。
本記事では、広島の外国人客の顔ぶれを公的統計で確かめ、そこから「どこに情報を置けば見つけてもらえるか」までをつなげます。数字はすべて広島県・広島県観光連盟・広島市・観光庁・日本政府観光局(JNTO)の公表資料から引いています。
広島県の外国人観光客は、2025年に過去最高を更新しました
まず規模からです。広島県の集計では、2025年に県内を訪れた外国人観光客は511.5万人でした。前年より21.4%増え、過去最高です(出典: 広島県「令和7年広島県観光客数の動向について」)。
なお、この数字は市町ごとの集計を合計したものです。他県と比べる時は、観光庁の調査が目安になります。2025年に広島県を訪れた訪日外国人は168.7万人でした。訪問率は4.10%で、全国13位です(出典: 観光庁「インバウンド消費動向調査」2025年暦年 都道府県別集計表)。
広島市だけで見ても、2025年の外国人観光客は256.1万人で、統計を取り始めてから最も多い数字です(出典: 広島市「令和7年(2025年)広島市観光客数について」)。
顔ぶれは全国と大きく違い、欧米豪が主役です
広島県観光連盟の集計で、2025年の国・地域別の上位を並べると次のとおりです(出典: 広島県観光連盟「令和7年 広島県観光客数の動向」)。
- 1位 アメリカ……78.7万人(15.4%)
- 2位 イギリス……43.7万人(8.5%)
- 3位 オーストラリア……38.0万人(7.4%)
- 4位 台湾……37.7万人(7.4%)
- 5位 フランス……37.3万人(7.3%)
- 7位 韓国……24.2万人(4.7%)
- 9位 中国……21.7万人(4.3%)
地域別では、欧米豪の主要国が56.3%、アジアの主要国が24.6%、その他・国籍不明が19.1%でした。
全国の訪日客と比べると、違いがはっきりします。JNTOの統計をもとに計算すると、2025年の訪日客の22.2%が韓国、21.3%が中国、15.8%が台湾でした。アメリカは7.7%、イギリスは1.3%です(出典: JNTO「国籍/月別 訪日外客数」2025年)。数え方が違うため単純な比較はできませんが、広島ではアメリカの比重が全国のおよそ2倍、韓国と中国の比重は全国の4分の1以下です。
2025年に伸びた市場と、足踏みした市場
同じ集計で、前年からの伸びを見ると、イギリスが49.7%増、台湾が43.6%増、アメリカが41.6%増、中国が40.8%増でした。一方、韓国は2.0%減と、上位10市場で唯一前年を下回りました(出典: 広島県観光連盟「令和7年 広島県観光客数の動向」)。
2026年に入ってからの全国の流れも押さえておきます。JNTOの推計では、2026年1〜8月の訪日客は、韓国が21.2%増、台湾が19.8%増、アメリカが6.1%増、イギリスが5.8%増でした。中国は56.7%減です(出典: JNTO「訪日外客数(2026年8月推計値)」、同 国籍/月別 訪日外客数)。
広島で数の多い欧米豪は、全国でも伸びが続いています。韓国と台湾は、全国では2割前後の伸びです。広島で2025年に減った韓国も、全国の流れと合わせて見ておく必要があります。
同じ広島県でも、市町によって顔ぶれが違います
広島県観光連盟は、市町ごとの国・地域別の数字も公表しています(出典: 広島県観光連盟「第7表 市場別外国人観光客数(令和7年)」)。そこから割合を計算すると、次のようになります。
- 広島市……外国人観光客256.1万人のうち、アメリカが17.7%で最多
- 廿日市市……157.4万人のうち、アメリカ13.2%、フランス12.8%。前年から66.5%増えました
- 尾道市……70.7万人のうち、台湾が20.8%で最多。アメリカの14.5%を上回ります
この3市の合計で、県全体の外国人観光客のおよそ95%を占めます。また、外国人の宿泊客は、広島市・廿日市市などを含む地区に87.1%が集まっています(出典: 同上の観光客数の動向)。
店のある市町によって、狙う市場の優先順位は変わります。
空の玄関口はアジア路線。欧米豪の客はほかの空港から来ます
広島県の資料によると、2025年7月の上海線増便後の広島空港の国際線は、ソウル、大連・北京、上海、香港、台北、ハノイの6路線、週35往復です。ソウル線は週14往復と最も多く、台北線は週5往復です(出典: 広島県「広島~上海線の増便について」)。2026年12月には、大韓航空がソウル(仁川)と広島を結ぶ路線を週7往復で開設すると発表しています(出典: Aviation Wire 2026年8月24日)。
一方で、欧米豪との直行便はありません。いちばん多い欧米豪のお客様は、ほかの空港から日本に入り、国内を移動して広島を訪れていることになります。
つまり、欧米豪のお客様と、直行便で来るアジアのお客様とでは、広島の店を知るきっかけが違う可能性があります。次の章で、国ごとの情報源を数字で確かめます。
店を探す場所は、国によって分かれます
観光庁は、出発前に役に立った情報源を国籍別に集計しています(出典: 観光庁「インバウンド消費動向調査 2025年 年次報告書」)。広島で多い国を中心に並べます。
- 米国……1位 動画サイト43.0%、2位 自国の親族・知人35.6%、3位 SNS35.4%。口コミサイトは18.6%です
- 英国……1位 自国の親族・知人41.5%、2位 SNS33.2%、3位 宿泊施設のホームページ32.6%、4位 旅行ガイドブック31.7%
- オーストラリア……1位 動画サイト43.9%、2位 SNS38.4%、3位 自国の親族・知人36.0%、4位 口コミサイト22.9%
- 台湾……1位 動画サイト45.5%、2位 SNS42.7%、3位 個人のブログ29.0%
- 韓国……1位 SNS47.1%、2位 動画サイト43.8%、3位 個人のブログ42.9%
同じ報告書では、日本滞在中に役に立った情報として「飲食店」を挙げた人が、英国で68.6%、オーストラリアで61.5%、米国で60.8%にのぼります。欧米豪のお客様は、滞在中にも店を探しています。滞在中に見る地図アプリや口コミサイトの情報が、来店の判断材料になりやすいと考えられます。
台湾と韓国のお客様は、出発前のSNS・動画・ブログの比重が大きく、とくに韓国は個人のブログが4割を超えます。
広島の飲食店は、この順番で進めると迷いません
- 欧米豪向けの入口を整える。Googleマップの店舗情報(営業時間・写真・英語のメニュー)を最新にし、口コミには英語でも返信します。いちばん数の多いお客様が、滞在中に店を探す場所です
- 自分の市町の顔ぶれを確かめる。県の第7表で、店のある市町の上位の国を見ます。尾道市のように台湾が最多の市もあります
- 東アジアから1つの市場を選ぶ。台湾ならInstagramなどのSNSと動画、韓国ならNAVERブログの来店記事が入口です。どちらも直行便があります
- 中国向けは、頼り切らない形で。上海線は毎日運航ですが、全国では2026年に入って大きく減っています。情報は置きつつ、主力にはしない判断が現実的です
- 成果を測る。来店客に国籍を聞き、月ごとに記録します。どの入口が効いているかが見えると、次の一手を選べます
まとめ——広島は「欧米豪が主役、アジアは選んで伸ばす」県です
広島県の外国人観光客は2025年に511.5万人と過去最高で、欧米豪の主要国が半数を超えます。韓国の比重は全国よりずっと小さく、2025年はわずかに減りました。
まずはGoogleマップと口コミで欧米豪のお客様を取りこぼさないこと。そのうえで、市町の顔ぶれと直行便の動きを見て、台湾か韓国のどちらかを選んで伸ばすこと。この順番が、広島の店にとって無理のない進め方です。
RED BOOSTは、韓国のNAVERブログや台湾・香港のInstagramなど、アジアの旅行者が店を探す媒体での来店PRを支援しています。広島の店舗様からのご相談も承っています。
この記事は、飲食店のインバウンド集客を支援する
RED BOOST が、公的統計や公式資料をもとにまとめたものです。数字は「参考・出典」のリンク先で確認できます。
運営者情報