金沢で店をやっていると、ここ数年で外国人のお客様が目に見えて増えたと感じるはずです。その感覚は統計でも裏付けられます。
結論から書きます。金沢市の外国人宿泊客は、2025年に116万人を超えて前年より38.2%増えました。最も多いのは台湾で、地域別ではヨーロッパが3割を占めます。一方で、全国では訪日客の2割強を占める韓国は、石川県の外国人宿泊者のわずか2.0%です。大阪や福岡と同じ順番で対策を進めると、いちばん多いお客様への入口が後回しになりかねません。
本記事では、金沢・石川の外国人客の顔ぶれを公的統計で確かめ、そこから「どこに情報を置けば見つけてもらえるか」までをつなげます。数字はすべて金沢市・石川県・観光庁・日本政府観光局(JNTO)の公表資料から引いています。
金沢市の外国人宿泊客は、2025年に116万人を超えました
まず規模からです。金沢市が市内のすべての宿泊施設に行った調査では、2025年の外国人宿泊客は116万1,237人でした。前年より38.2%増え、コロナ前の2019年のおよそ1.9倍です。市内の宿泊客に占める外国人の割合は26.8%まで上がりました(出典: 金沢市「令和7年(2025年)金沢市観光調査結果報告書」)。
石川県全体では、2024年の外国人宿泊者数が110万5,619人と、前年より42.9%増えて過去最多を更新しています(出典: 石川県「統計からみた石川県の観光 令和6年」)。
観光庁の調査では、2025年に石川県を訪れた訪日外国人は88.6万人、訪問率は2.15%で、全国18位でした(出典: 観光庁「インバウンド消費動向調査」2025年暦年 都道府県別集計表)。
顔ぶれは台湾が最多で、ヨーロッパの比重が全国よりずっと大きい
金沢市の2025年の外国人宿泊客を国別に並べると、上位は次のとおりです(出典: 金沢市「令和7年 金沢市観光調査結果報告書」)。
- 1位 台湾……17万7,227人(15.3%)
- 2位 アメリカ……12万9,877人(11.2%)
- 3位 中国本土……12万3,348人(10.6%)
- 4位 オーストラリア……6万8,524人(5.9%)
- 5位 イタリア……6万8,459人(5.9%)
地域別では、アジアが38.4%、ヨーロッパが32.2%、北米が13.5%です。
石川県全体でも傾向は同じです。2024年の県内の外国人宿泊者は、ヨーロッパが26.9%、台湾が17.5%でした。同じ資料に載っている全国の訪日客の構成では、ヨーロッパは6.5%です。逆に韓国は、全国の23.9%に対して石川県では2.0%にとどまります(出典: 石川県「統計からみた石川県の観光 令和6年」)。数え方が違うため単純な比較はできませんが、全国とは顔ぶれが大きく違います。
外国人客の山は4月と10月にきます
金沢市の月別の数字を見ると、2025年は4月(14万7,661人)と10月(14万5,933人)が突出し、5月と11月も12万人を超えました。4月には市内の宿泊客の38.7%が外国人でした(出典: 金沢市「令和7年 金沢市観光調査結果報告書」)。
春と秋は、街に泊まっている人の4割近くが外国人という時期です。英語の案内や予約の受け方は、この山の前に整えておきます。
金沢を訪れる外国人は、個人で初めて来る人が中心です
金沢市は2025年8〜12月に、市内の観光地で外国人1,131人に面接調査を行っています(出典: 金沢市「金沢印象面接調査(外国人)」2025年)。そこから、店づくりに関わる点を抜き出します。
- 旅行の手配は「個別に手配」が85.5%。団体ツアーは2.9%です
- 金沢への訪問は9割以上が「初めて」。アジアの人は日本に4回以上来ている人が多い一方、ヨーロッパの人は日本自体が初めての人が70%前後です
- 金沢のほかに訪れる場所は、アジアの人が岐阜県・中京・関西の順、ヨーロッパと北米の人が関東・関西・岐阜県の順でした
個人で金沢に初めて来る人は、事前に知っている店がほとんどありません。旅行者が自分で調べた時に、店の情報が出てくるかどうかが来店を左右します。
店を探す場所は、国によって分かれます
同じ面接調査では、出発前に役立った金沢の旅行情報を国・地域別に聞いています。全体の上位は「動画サイト」33.1%、「SNS」33.0%、「個人のブログ」26.3%、「口コミサイト」16.6%です。インターネットの情報が上位を占めました(出典: 金沢市「金沢印象面接調査(外国人)」2025年)。金沢で多い国を並べます(かっこ内は回答者数)。
- 台湾(223人)……動画サイト37.7%、個人のブログ27.4%、SNS20.6%、日本政府観光局のホームページ20.6%
- 香港(63人)……動画サイト49.2%、日本政府観光局のホームページ30.2%
- 中国(80人)……その他のインターネット36.3%、SNS18.8%
- アメリカ(105人)……口コミサイト38.1%、動画サイト38.1%、SNS31.4%
- ヨーロッパ計(388人)……SNS43.8%、個人のブログ32.2%、動画サイト31.7%、旅行ガイドブック26.5%、口コミサイト24.5%
台湾と香港は動画とブログ、アメリカは口コミサイトの比重が大きくなっています。中国の人は選択肢にない「その他のインターネット」が多く、中国国内のアプリで調べていると考えられます。また旅行中は、全体の95.1%がスマートフォンなどのインターネットで情報を得ていました。
外国人客は「日本食」を期待して来て、夕食探しに困っています
金沢に期待していたことの1位は「日本食を食べること」で70.6%でした。実際に満足したことでも「日本食を食べること」が80.8%で1位です。(出典: 金沢市「金沢印象面接調査(外国人)」2025年)。
期待の強さは地域で差があります。「日本食を食べること」を期待した人は、ヨーロッパで85.8%、北米で78.6%だったのに対し、台湾では42.2%でした。台湾の人にとって、食事は旅の目的の一つにとどまることが多いようです。だからこそ、旅先で調べた時に目に入る店が選ばれます。
一方で、改善点の自由回答には飲食店に関わる声もあります。
- 営業時間・営業日(3.6%)……「お店が閉まるのが早い」
- 食(飲食全般、3.1%)……「夕食のレストランを見つけるのが難しい」「ハラル対応の店がない」
- 英語対応(5.0%)……「英語の標識が少ない」
夜に開いている店の情報や、英語で読めるメニューの情報は、それだけで外国人客に選ばれる理由になります。
金沢・石川の飲食店は、この順番で進めると迷いません
- Googleマップの店舗情報を整える。営業時間(とくに夜の時間)・写真・英語のメニューを最新にし、口コミには英語でも返信します。アメリカの人は口コミサイトをよく使います
- 台湾向けの入口を作る。金沢でも石川県でも最も多い市場です。台湾の人は動画とブログ、SNSで店を知るため、Instagramなどでの来店投稿が入口になります。全国でも、2026年1〜9月の台湾からの訪日客は前年より19.1%増えています
- ヨーロッパの客を取りこぼさない。SNSとブログに加え、旅行ガイドブックもよく使う層です。英語で読める店の説明を自店のサイトにも置きます
- 中国向けは、頼り切らない形で。金沢では3位の市場ですが、全国では2026年1〜9月に中国からの訪日客が55.5%減りました。中国国内のアプリに情報は置きつつ、主力にはしない判断が現実的です
- 春と秋の山に合わせて準備する。4月と10月に外国人客が集中します。来店客に国籍を聞いて月ごとに記録すると、どの入口が効いているかが見えてきます
まとめ——金沢・石川は「台湾とヨーロッパが軸、夜と英語が差になる」地域です
金沢市の外国人宿泊客は2025年に116万人を超え、宿泊客の4人に1人以上が外国人になりました。最も多いのは台湾で、ヨーロッパの比重が全国よりずっと大きいのが金沢・石川の特徴です。韓国の比重は小さく、大阪や福岡とは優先順位が変わります。
外国人客の多くは、個人で初めて金沢を訪れ、日本食を楽しみにしています。そのうえで「夕食の店が見つからない」「店が早く閉まる」と感じています。Googleマップと英語の情報を整え、台湾向けの動画やSNSの入口を作ること。この2つが、金沢・石川の店にとって無理のない最初の一歩です。
RED BOOSTは、台湾・香港のInstagramや中国のRED(小紅書)など、アジアの旅行者が店を探す媒体での来店PRを支援しています。金沢・石川の店舗様からのご相談も承っています。
この記事は、飲食店のインバウンド集客を支援する
RED BOOST が、公的統計や公式資料をもとにまとめたものです。数字は「参考・出典」のリンク先で確認できます。
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