「フーディー(foodie)」とは、食べることを趣味にし、食べた店や料理を写真や動画で発信する人のことです。台湾や香港では、こうした人たちの投稿を見て旅先の店を決める習慣が広く根づいています。
結論を先に書くと、台湾・香港のお客様に選ばれるかどうかは、出発前にフーディーの投稿で店が目に入るかどうかに左右されやすいと考えられます。日本に10回以上来ている人は、香港で38.4%、台湾で26.4%にのぼります(出典: 観光庁「インバウンド消費動向調査 2025年 年次報告書」)。定番を食べ終えた人たちが、次の一軒を投稿の中から探しています。
本記事は読み物として、フーディー文化の中身と、その投稿が旅の計画に入り込む流れを整理します。そのうえで、日本の飲食店が用意できることをまとめます。
フーディーとは——食べることを旅の目的にする人たち
フーディーは、料理評論家のような専門家とは限りません。会社員や学生が、休日に食べ歩いた記録を自分のアカウントに載せている場合も多くあります。共通しているのは、食べる体験そのものを目的にして出かけ、その記録を人に見せるところです。
台湾や香港では、食の話題を「美食(グルメ)」と呼びます。日本旅行の投稿でも、店の料理は定番の題材です。フーディーの投稿は、旅の思い出の記録と、次に行く人への案内を兼ねています。
読む側にとっては、同じ言葉を話す人の体験談です。店が出す公式の案内とは受け取り方が違います。
数字で見る台湾・香港——何度も来て、食を楽しむ市場
フーディー文化が日本の飲食店に関係する理由は、台湾・香港のお客様の旅のしかたにあります。以下はすべて観光庁の調査によります(出典: 観光庁「インバウンド消費動向調査 2025年 年次報告書」)。
- 日本への来訪が「1回目」の人は、台湾12.1%、香港9.4%。全国籍・地域では35.1%
- 「10回目以上」の人は、台湾26.4%、香港38.4%。全国籍・地域では15.0%
- 過去1年間に、今回のほかにも日本へ来ていた人は、台湾55.7%、香港65.2%
- 旅行の手配は「個別手配」が台湾77.5%、香港90.5%
- 旅行消費額に占める飲食費の割合は、台湾21.8%、香港24.1%。全国籍・地域の22.0%と同じ水準
リピーターほど、店選びに時間をかける
この数字が示すのは、日本に慣れた人が、自分で調べて旅を組んでいるという姿です。1年のうちに2回以上来る人が半数を超える市場では、有名な店はすでに行き終えています。次に探されるのは、まだ知られていない一軒です。
同じ調査では、訪日客の98.2%が滞在中に「日本食を食べること」を経験し、70.7%が次回もしたいと答えています(全国籍・地域)。食べることは、何度来ても旅の中心に残る楽しみです。
フーディーの投稿は、旅の計画のどこで見られるか
投稿が見られる場面は、大きく2つに分かれます。出発前と、日本に着いてからです。
出発前:行きたい店の候補を集める
観光庁の調査で、出発前に役に立った情報源は次の順でした(出典: 観光庁「インバウンド消費動向調査 2025年 年次報告書」)。
- 台湾:動画サイト45.5%、SNS42.7%、個人のブログ29.0%
- 香港:動画サイト48.8%、SNS40.8%、日本政府観光局ホームページ16.2%、個人のブログ15.4%
香港では、口コミサイトは10位の8.8%でした。台湾では上位10項目に入っていません。候補を集める段階で見られているのは、点数の一覧よりも、誰かが実際に食べた記録だと読み取れます。
滞在中:候補の店を確かめる
日本滞在中に役に立った情報では、「飲食店」が台湾で48.3%、香港で54.8%と、どちらも交通手段に次ぐ2位でした。出発前に保存しておいた店の場所や営業時間を、現地で確かめ直す動きです。
つまり、フーディーの投稿は入口の役目を担っています。出発前に候補へ入らなかった店は、滞在中に調べてもらう機会も少なくなります。旅の段階ごとの考え方は、旅マエ・旅ナカ・旅アトの記事でも扱っています。
なぜInstagramが舞台になるのか
台湾・香港のフーディーが主に使う場所のひとつがInstagramです。料理の見た目と店の場所を一緒に残せるため、食の記録と相性がよい媒体です。
利用の広がりも数字で確かめられます。調査会社DataReportalによると、Instagramの広告が届く人数は、2025年末時点で台湾が約1,220万人、香港が約405万人でした。人口に対する割合は、台湾が52.6%、香港が54.8%です(出典: DataReportal「Digital 2026: Taiwan」、DataReportal「Digital 2026: Hong Kong」)。
この数字は広告の配信ツールが示す推計で、実際の利用者数とぴったり一致するものではありません。それでも、人口の半分ほどに届く規模の媒体だという目安にはなります。
フーディーの投稿に写るもの——店が用意できる材料
フーディーの投稿は、料理の写真だけでできているわけではありません。読んだ人が同じ体験をたどれるよう、いくつかの情報がまとめて載ります。店の側で用意できるものを整理します。
料理の見せ場
目の前で仕上げる一品、断面が見える盛り付け、湯気や音。動画で伝わる場面があると、投稿の中心になります。看板にしたい料理を一つ決め、いちばんよく見える出し方を考えておくと、写真の印象がそろいます。
店までの道のり
入口、看板、建物の外観は、投稿する人が撮り忘れやすい部分です。見つけにくい場所にある店は、外観の写真を店から渡せるようにしておくと、読んだ人が迷いません。
行けるかどうかを決める条件
予約の方法、席の種類、撮影してよい範囲。こうした条件は、投稿の文章にそのまま書かれます。先に伝えておけば、正しい内容で広まります。
繁体字での店名と料理名
台湾と香港はどちらも繁体字を使うため、表記は一つ決めれば両方に通じます。人によって表記が違うと、検索しても投稿が一か所に集まりません。文字の違いは繁体字と簡体字の解説をご覧ください。
フーディーに来店してもらうときに守ること
フーディーの投稿は、自然に生まれるのを待つだけでなく、店から来店を依頼して生む方法もあります。依頼する相手の考え方は、KOLとKOCの違いの記事で整理しています。
依頼するときに欠かせないのが、広告だとわかる表示です。2023年10月1日から、広告であることを隠す「ステルスマーケティング」は景品表示法の違反になりました。規制の対象は、依頼した事業者の側です(出典: 消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります」)。
店から食事を提供して投稿を頼んだ場合は、その関係がわかる表示を入れてもらいます。感想の中身まで指定しないことも大切です。フーディーの投稿が信頼されるのは、本人の言葉で書かれているからです。詳しくはステマ規制とインフルエンサーPRの記事をご覧ください。
まとめ:次の一軒は、投稿の中から選ばれる
本記事の要点を整理します。
- 台湾・香港は、日本に10回以上来ている人が台湾26.4%、香港38.4%を占めるリピーター市場
- 出発前に役に立った情報源は、どちらも動画サイトとSNSが上位。口コミサイトは香港で10位
- 滞在中は「飲食店」の情報が2番目に役立っている
- 店が用意できるのは、料理の見せ場、道のりの写真、条件の案内、繁体字の表記
- 来店を依頼した投稿には、広告だとわかる表示を入れてもらう
何度も日本に来ている人ほど、次の一軒を投稿の中から探します。店が先に材料を整えておけば、訪れた人の投稿が、次の旅行者への案内になります。
RED BOOSTでは、台湾・香港のクリエイターに来店してもらうPRを扱っています。これまで数十店舗の飲食店からご相談をいただいてきました。進め方のご質問だけでもお受けしています。
この記事は、飲食店のインバウンド集客を支援する
RED BOOST が、公的統計や公式資料をもとにまとめたものです。数字は「参考・出典」のリンク先で確認できます。
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