多言語メニューを用意し、Wi-Fiもキャッシュレス決済も整えた。それでも外国人のお客様がなかなか増えない——そんなお悩みはありませんか。原因の多くは、お店の魅力不足ではなく、そもそも外国人に見つけてもらえていないことにあります。
訪日外国人の多くは、日本に着いてから店を探すのではなく、出発前の「旅マエ」の段階で、母国の検索サイトやSNSを使って行く店を決めています。つまり、韓国・台湾・香港・中国それぞれの「探される場所」に自店の情報がなければ、候補に入ることさえ難しいのです。
この記事では、受け入れ整備の前に取り組みたい「見つけてもらう」ための国別対策——韓国のNAVER(ネイバー)、台湾・香港のInstagram、中国のRED(小紅書)と大衆点評——を、公的統計と各種調査をもとに解説します。
多言語メニューやWi-Fiだけでは外国人観光客は増えない
飲食店のインバウンド対策としてよく挙がるのは、多言語メニュー・Wi-Fi・キャッシュレス決済といった「受け入れ整備」です。もちろん大切な準備ですが、これらはすべて来店した後の満足度を高める施策であり、来店のきっかけをつくる施策ではありません。
では、来店のきっかけはどこで生まれるのか。日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2026年5月の訪日外客数は355万9,900人(出典: JNTO報道発表)。このうち韓国・台湾・中国・香港の東アジア4市場だけで約59%を占めます(出典: JNTO報道発表資料PDF)。こうした旅行者の多くは、日本のグルメサイトを日本語で検索することはほとんどありません。母国で使い慣れた検索サイトやSNSで店を探します。つまり、その媒体に自店の情報がなければ、受け入れ整備がどれだけ整っていても選択肢に入りにくいのです。
訪日外国人は「旅マエ」に行く店を決めている
「日本に着いてから近くで評判の店を探すのでは?」と思われるかもしれません。しかし食は訪日旅行の中心的な目的であり、店探しは出発前から始まっています。観光庁「訪日外国人消費動向調査」(2022年年次報告)では、訪日前に期待していたことの1位は「日本食を食べること」で78.3%にのぼります(出典: 農林水産省資料(観光庁調査を引用))。また2025年暦年の訪日外国人旅行消費額(確報)では、飲食費が全体の21.9%を占め、宿泊費・買物代に次ぐ第3の費目となっています(出典: 観光庁「インバウンド消費動向調査」)。
旅行者の多くは、旅マエに母国語の媒体で気になる店を検索・保存して候補リストをつくり、現地ではその中から店を選びます。この旅マエの候補リストに入ることこそが、飲食店のインバウンド集客の出発点です。そして参照される媒体は、国・地域によってまったく異なります。
韓国人観光客への集客:NAVER(ネイバー)で見つけてもらう
韓国は2026年最大の訪日市場です。5月の訪日韓国人は95万1,300人(前年同月比+15.2%)、1〜5月累計でも前年比+20.6%と過去最高ペースで伸びています(出典: JNTO報道発表資料PDF)。
その韓国で店探しの中心にあるのが、韓国最大級の検索・口コミ媒体NAVER(ネイバー)です。韓国では「地名+맛집(マッチプ=おいしい店・グルメの意)」で検索し、NAVERブログの体験レビューを読み比べて店を決める流れが定着しているとされます。実際、CREATIP社とENJOY JAPAN社の共同調査(2024年12月、韓国の10〜50代119名)では、訪日観光の情報収集メディアはNAVERとInstagramが同率1位でした(出典: コマースピック)。※サンプル数の小さい調査のため、あくまで傾向としてご覧ください。
対策の柱は、NAVERブログ上に自店の体験レビュー記事がある状態をつくることです。自店で韓国語ブログを運用するのはハードルが高いため、現地のブロガーに実際に来店・体験してもらい、レビュー記事として紹介してもらう方法が実務では定番になっています。
台湾・香港からの観光客への集客:Instagramで見つけてもらう
台湾も2026年は過去最高ペースの市場で、5月は61万6,800人(前年同月比+14.6%)、1〜5月累計は前年比+22.3%。香港は5月20万7,900人(+7.7%)でした(出典: JNTO報道発表資料PDF)。JTB総合研究所の調査では、台湾の回答者の77.4%が「1年以内にまた日本を訪れたい」と答えており、再訪意向の高さが特徴です(出典: JTB総合研究所)。
台湾・香港は中国本土と異なり、GoogleやInstagramが自由に使えます。訪日ラボが訪日旅行を検討する台湾人2,000名に行った調査では、情報収集手段は予約サイト49.8%、YouTube41.8%、観光情報サイト37.1%と分散しています(出典: 訪日ラボ)。飲食店探しの場面では、「日本美食(日本グルメ)」「日本旅遊(日本旅行)」といったハッシュタグでのInstagram検索や、Googleマップでの保存・口コミ共有が使われるとされます(出典: ノーツ株式会社)。
対策としては、繁体字(台湾・香港で使われる漢字)での情報発信、現地のグルメ系インフルエンサーによるリール動画や投稿、そしてGoogleマップの店舗情報・写真・口コミの充実が柱になります。
中国人観光客への集客:RED(小紅書)と大衆点評で見つけてもらう
中国だけは前提がまったく異なります。中国本土では「グレートファイアウォール(金盾)」と呼ばれるネット検閲により、Google・Instagram・Facebookなど海外の主要サービスが原則利用できません(出典: 訪日ラボ)。つまり、他の国向けに整えたGoogleマップやInstagramの施策は、中国本土の旅行者にはほぼ届かないのです。
代わりに使われるのがRED(小紅書=シャオホンシュー)と大衆点評(だいしゅうてんぴょう)です。REDは2025年以降「rednote」という国際名称も持つ口コミ媒体で、アライドアーキテクツ社の調査(在日中国人500名)では、店選びの際に参考にするメディアとして90%以上がREDを挙げて1位でした。同調査では約85%が直近1年間に訪日中国人をアテンドした経験を持ち、在日中国人の口コミが訪日客の店選びに影響する構図も示されています(出典: アライドアーキテクツ社プレスリリース)。※訪日客本人ではなく在日中国人への調査である点にご留意ください。大衆点評は中国版の「食べログ+Googleマップ」的な存在で、日本の飲食店も掲載されるため、まず自店ページの有無と情報の正確さの確認から始めましょう。
なお2026年は、中国政府による日本への渡航を避ける注意喚起が続いていると報じられており(出典: トラベルボイス)、5月の訪日中国人は前年同月比-60.4%と大きく減少しています(出典: JNTO報道発表資料PDF)。短期の集客効果は見込みにくい一方、口コミや投稿は蓄積型の資産です。回復期に備えて仕込んでおく市場と位置づけるのが現実的でしょう。
国別対策の優先順位はこう決める
4市場すべてを同時に攻めるのは、多くのお店にとって現実的ではありません。次の3ステップで優先順位を付けるのがおすすめです。
ステップ1:すでに来ている国籍を把握する
自店のGoogleマップに付いた口コミの言語(韓国語/繁体字=台湾・香港/簡体字=中国本土/英語)や、周辺のホテル・観光スポットの客層を確認します。すでに来てくれている国は口コミが増えやすく、最初の一手に向いています。
ステップ2:市場の勢いを掛け合わせる
2026年1〜5月累計では韓国(前年比+20.6%)と台湾(+22.3%)が過去最高ペースで伸びる一方、中国は大幅減、香港はほぼ横ばいです(出典: JNTO報道発表資料PDF)。短期の成果を重視するなら、韓国・台湾から着手するのが合理的です。
ステップ3:1市場に絞って口コミを厚くする
複数市場を同時に薄く攻めるより、まず1つの媒体で体験レビューや口コミを積み上げ、「その国の媒体で検索すれば見つかる店」の状態をつくってから次の市場へ広げるほうが、限られたリソースでも成果につながりやすくなります。
まとめ:「見つけてもらう仕組み」づくりは専門サービスの活用も選択肢
本記事のポイントを整理します。
- 多言語メニューやWi-Fiなどの受け入れ整備は「来店後」の施策。先に必要なのは「見つけてもらう」こと
- 訪日客は旅マエに母国の媒体で店を決める。「日本食を食べること」は訪日前の期待の1位
- 韓国はNAVER、台湾・香港はInstagramとGoogleマップ、中国本土はRED(小紅書)と大衆点評——国によって媒体がまったく違う
- 優先順位は「すでに来ている国籍」と「市場の勢い」で決め、まず1市場に集中する
とはいえ、現地語でのコンテンツ制作、現地ブロガー・インフルエンサーの選定や交渉、媒体ごとの継続運用を自店だけで担うのは簡単ではありません。RED BOOSTは、NAVERブログ・台湾/香港向けInstagram・RED(小紅書)・大衆点評を活用した「見つけてもらう」ための国別施策を、これまで数十店舗の飲食店に提供してきました。自店に合う市場や打ち手を知りたい方は、無料相談をお気軽にご利用ください(RED BOOST公式サイト)。