インバウンドの話題でよく聞く「旅マエ」「旅ナカ」「旅アト」は、訪日客の行動を、出発前・滞在中・帰国後の三つの段階に分けて考えるための言葉です。
飲食店にとって、この区分けは実用的です。お客様がどの段階で店を知り、どの段階で入る店を決め、どの段階で感想を広めるのかがわかれば、手を打つ場所とタイミングがはっきりするからです。
結論を先に書くと、飲食店の集客で要になるのは旅マエです。本記事では、観光庁の調査と国の手引きをもとに、三つの段階の中身と、それぞれで店ができることを整理します。
インバウンドの話題でよく聞く「旅マエ」「旅ナカ」「旅アト」は、訪日客の行動を、出発前・滞在中・帰国後の三つの段階に分けて考えるための言葉です。
飲食店にとって、この区分けは実用的です。お客様がどの段階で店を知り、どの段階で入る店を決め、どの段階で感想を広めるのかがわかれば、手を打つ場所とタイミングがはっきりするからです。
結論を先に書くと、飲食店の集客で要になるのは旅マエです。本記事では、観光庁の調査と国の手引きをもとに、三つの段階の中身と、それぞれで店ができることを整理します。
国土交通省中部運輸局の手引きでは、訪日客の行動を次の四つの期間に分けて整理しています(出典: 国土交通省中部運輸局「訪日外国人旅行者向け 観光コンテンツ販路構築の手引き」)。
同じ手引きは、それぞれの期間で必要な情報も、情報を得る方法も異なると述べています。店の側から見れば、同じお客様に向けた発信でも、段階ごとに届け方を変える必要があるということです。
行き先の国がまだ決まっていないプレ旅マエは、一軒の飲食店が働きかけるには遠い段階です。本記事では、日本行きが決まったあとの旅マエ・旅ナカ・旅アトの三つを扱います。
手引きの整理では、旅マエに訪日客が探している情報として「絶対食べたいもの」「絶対行きたいところ」が挙がっています。行き先を日単位で組み立てるこの段階で、食べたいものの候補が決まっていきます。
食事は、訪日旅行の中心にあります。観光庁のインバウンド消費動向調査(2025年年次報告書)では、日本滞在中にしたことの1位が「日本食を食べること」で98.2%でした(出典: 観光庁「インバウンド消費動向調査 2025年年次報告書」)。
ほぼ全員が日本で食事をするのですから、問われるのは「どの店で食べるか」です。その候補の一覧に入るかどうかは、旅マエでどれだけ目に触れたかで大きく左右されます。旅ナカで店を探す人もいますが、旅マエで名前を覚えてもらえた店は、旅ナカで一から探される前に、すでに行き先の候補に入っています。
同じ観光庁の調査で、出発前に役に立った旅行情報源を全国籍・地域の合計で見ると、SNSが43.3%、動画サイトが39.6%、個人のブログが23.9%の順でした。
国・地域別に見ると、違いがはっきりします。
旅マエに入り込むには、まず自店に来ているお客様の国を確かめ、その国の人が出発前に見ている場所に、現地の言葉で書かれた店の情報を置くことが近道です。
旅ナカになると、お客様の関心は具体的になります。手引きでは、この期間に決めることとして「どのお店に入るか」「何を食べるか」が挙がっています。
観光庁の調査で、日本滞在中に役に立った旅行情報を見ると、1位は交通手段(65.9%)、2位が飲食店(56.0%)でした。韓国にかぎれば、飲食店が56.5%で1位です。
この段階でよく使われるのが地図アプリです。旅マエで候補に入れた店の場所や営業時間を確かめたり、近くで入れる店を探したりします。Googleは、ビジネス情報に営業時間(特別営業時間を含む)を載せること、写真や動画で商品やサービスを紹介することを勧めています(出典: Google ビジネス プロフィール ヘルプ「ローカル検索結果で上位に表示されるようにする」)。
旅ナカの対策は、旅マエで決めてくれたお客様を取りこぼさないための備えです。遠くから来たのに閉まっていた、入口がわからなかった、という失敗を減らすことが中心になります。
手引きでは、旅アトの接触媒体として口コミサイトやSNSが挙がっています。帰国したお客様が書いた口コミや投稿は、これから旅行を計画する人が旅マエで目にする情報になります。旅アトは、次のお客様の旅マエにそのままつながっているのです。
同じお客様が戻ってくる可能性もあります。観光庁の調査では、日本への再訪意向で最も強い選択肢を選んだ人が77.9%、「来たい」が19.2%でした。次回日本でしたいことの1位も「日本食を食べること」(70.7%)です。来訪回数を見ると「4-9回目」のリピーターが24.2%おり、台湾や香港では「1回目」の割合が約1割にとどまります。
ここで気をつけたいのが、口コミの集め方です。Googleは、クチコミの投稿や否定的なクチコミの修正・削除と引き換えに、金銭的報酬・割引・無料の商品やサービスなどのインセンティブを提供する行為を禁止しています(出典: Google「マップ ユーザー投稿コンテンツのポリシー」)。割引と引き換えに口コミを頼むのではなく、会計のときに一言お願いするなど、自然な形にとどめるのが安全です。
旅マエでSNS・動画・ブログから店を知り、旅ナカで地図を頼りに店へ向かい、旅アトで口コミやSNSに感想を残す。その感想が、次のお客様の旅マエの情報源になります。
この循環の起点になるのは、実際に店で食べた人の言葉です。旅マエの情報源として上位に来るSNSや個人のブログは、どれも個人の体験が中心の媒体です。店が自分で書いた紹介文より、現地の言葉で書かれた食べた人の記録のほうが、読み手にとって判断材料になりやすいと考えられます。
ただ、旅アトの自然な投稿だけを待つと、最初の一歩が踏み出せません。まだ訪日客がほとんど来ていない店では、書いてくれる人そのものがいないからです。そこで、その国で読まれている書き手に実際に来店して体験してもらい、記事にしてもらう方法があります。これを来店型PRと呼びます。旅アトの記録を先回りして用意し、旅マエの入口にするという考え方です。
三つのうち、店の中だけで完結しないのが旅マエです。旅ナカと旅アトの備えは店の方の手で進められますが、旅マエの入口は、お客様の国の媒体の中に作る必要があります。
RED BOOSTでは、NAVERブログ、台湾・香港のInstagram、RED、大衆点評といった国ごとの入口づくりを、数十店舗の飲食店と進めてきました。まずは、自店の名前を各国の言葉で検索するところから始めてみてください。
国土交通省中部運輸局の手引きでは、旅マエを旅行出発の1〜3か月以上前、旅ナカを5〜10日間、旅アトを旅行後1か月間程度としています。さらに前の段階として、どの国に行くかを決める「プレ旅マエ」(出発の4か月以上前)も示されています。季節や国によって前後しますので、目安としてお考えください。
集客の起点は旅マエです。行き先を組み立てる段階で「絶対食べたいもの」の候補に入れば、旅ナカで一から探される前に、行き先の候補に入れます。旅ナカのGoogleマップ整備と旅アトの口コミ返信は、旅マエで決めてくれたお客様を取りこぼさず、次のお客様につなげるための土台です。どれか一つではなく、旅マエを軸に三つをつなげる考え方をおすすめします。
Googleマップでは禁止されています。Googleのポリシーでは、クチコミの投稿や否定的なクチコミの修正・削除と引き換えに、金銭的報酬・割引・無料の商品やサービスなどを提供する行為を禁じています。会計時に一言お願いする、店内に案内を置くといった見返りのない形にとどめてください。
国によって違います。観光庁の2025年の調査では、韓国は個人のブログが42.9%と全体の2倍近くあり、台湾と香港は動画サイトが1位(台湾45.5%、香港48.8%)でした。中国本土はGoogleやInstagramが原則として使えないため、REDや大衆点評が入口になります。自店に多い国から順に対策するのが現実的です。
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