中国のお客様に向けて大衆点評(ダージョンディエンピン)への掲載を調べ始めると、多くの店が同じところでつまずきます。自店のページはすでにある。けれど、店側からは営業時間ひとつ直せない——という状態です。
これは不具合ではなく、大衆点評の仕組みどおりの姿です。掲載には「無料のまま置かれているページ」と「公式認証を受けたページ」という2つの状態があり、店舗側に何ができるかが大きく変わります。
この記事では、無料版でできること・できないこと、公式認証で何が変わるのかを、確認できた出典に沿って整理します。掲載そのものの基礎は大衆点評とは?飲食店の中国人集客に必須な理由、登録の手順は大衆点評の店舗登録方法でも扱っています。
大衆点評のページは、店が作らなくても存在します
大衆点評は、利用者が店の情報を投稿し、口コミを書き合う場です。ページを作れるのは店だけではありません。岩手県が公開している無料版の登録マニュアルを見ると、その順序がよく分かります。まず個人アカウントを取得し、次に一般利用者として大衆点評側に施設の登録を依頼する——という流れです(出典: 岩手県「大衆点評(無料版)登録マニュアル」)。
つまり、来店した中国のお客様や日本在住の中国人が自店を登録していた、ということが普通に起こります。解説記事でも、訪日客や在日客によって登録されたページが多く存在すると説明されています(出典: 中国人観光マーケティングLAB)。
まず確かめるのは「あるかないか」
ですから最初の一歩は、新規登録の準備ではありません。自店のページがすでにあるかどうかを確かめることです。もしあれば、そこには写真も口コミも載っているかもしれません。店が知らないうちに、中国のお客様の判断材料はもう出来上がっている、という前提から始まります。
無料版のままでは、店舗側が情報を直せません
ここが、この記事でいちばんお伝えしたい点です。誰かが登録しただけのページ——つまり無料版のまま置かれた状態は、大衆点評の中では非公式として扱われます。この状態では、店のオーナーであってもページの編集や修正ができません(出典: 中国人観光マーケティングLAB)。美団点評の日本総代理店であるJC Connectも、一般店舗と公式認証店舗では掲載できる情報量と使える機能が大きく異なると説明しています。非公式のままでは、店舗側からの情報追加・修正もページのカスタマイズもできません(出典: JC Connect「大衆点評 よくあるご質問」)。無料アカウントでは店舗側で情報の編集・修正ができない、という整理は口コミ管理サービスの解説でも同じです(出典: 口コミコム)。
放っておくと、何が起きるか
- 営業時間や定休日が変わっても、載っている情報は古いままになる
- メニューや価格帯を改定しても反映されない
- 投稿者が入れた店名の表記ゆれや、場所の間違いを正せない
- 口コミに感謝も説明も返せず、書かれっぱなしになる
日本語のグルメサイトなら、間違いに気づいた時点で直せます。大衆点評ではその当たり前が効きません。定休日に来店したお客様が閉まった扉の前に立つ——そんな取りこぼしが、店の知らないところで積み上がっていきます。
公式認証を受けると、ページが「自店のもの」になります
この状態を変える手続きが公式認証です。オーナーであることを示す書類を提出し、代理店などを通じて申請することで、そのページに対する正規の管理権限が与えられます(出典: 中国人観光マーケティングLAB)。
使えるようになる主な機能
機能の数に目が行きますが、実務でいちばん効くのは口コミに返信できるようになることだと考えています。返信は書いた本人だけでなく、その下を読み進める次のお客様にも届きます。返信の書き方は大衆点評の口コミ返信術で詳しく扱いました。
無料版の新規登録は、思ったより簡単ではありません
「まず無料で登録して、様子を見てから考えたい」。自然な発想です。ただ、無料版の入り口にはいくつも段差があります。岩手県のマニュアルによると、流れは4ステップです(出典: 岩手県「大衆点評(無料版)登録マニュアル」)。
- 個人アカウントを取得する
- 一般利用者として大衆点評側に施設の登録を依頼する
- 大衆点評側が確認して地点を登録する
- 登録された地点に店舗情報を入力する
途中で足が止まりやすいところ
個人アカウントの取得には実名認証が要り、日本の方は「外国护照(がいこくパスポート)」を選んでパスポートを読み込ませます。地図上での位置指定は、現時点で中国大陸以外では操作できません。そしてマニュアル自身が、大衆点評側の事情により無料版では日本の店舗登録ができない可能性があると但し書きを添えています。
審査の期間は、おおむね3日から1週間が目安とされています。時期によっては無料登録の受け付けが止まっていたり、追加の書類を求められたりすることもあるようです(出典: 中国人観光マーケティングLAB)。無料という言葉から想像する手軽さと、実際の手間には開きがあります。
どちらの状態でも、口コミは店舗側で消せません
公式認証を「都合の悪い口コミを消せる権利」と受け取ってしまうと、あとでがっかりします。JC Connectは、写真や口コミには一定の規定があり店舗側で削除は行えないと明記しています(出典: JC Connect「大衆点評 よくあるご質問」)。認証を受けても、この線は動きません。
認証で手に入るのは、消す権限ではなく答える権限です。低い評価がついたとき、店にできるのは、事実の補足と改善の報告を落ち着いた言葉で残すことだけになります。そしてそれは、次に読む人の目には十分に届きます。
認証を検討する前に、確かめておきたい3つのこと
1. 自店のページは、もう存在していないか
すでにページがあるなら、話は新規登録ではなく、そのページの権限を店の手に戻すことになります。先に確認しておかないと、同じ店の情報が別々に並ぶ状態を招きかねません。
2. 簡体字での運用を続けられるか
大衆点評は中国本土向けのサービスで、管理画面も口コミも簡体字です。情報を直すのも、返信を書くのも、その言語の中での作業になります。登録の瞬間より、そのあと続く運用のほうが長い——ここを翻訳の手配込みで見積もっておくと、後で無理が出ません。
3. 口コミが集まる見込みはあるか
ページが整っていることと、選ばれることは別の話です。利用者は候補を見比べて店を決めます。写真も口コミも空のページは、比較の土俵に上がる前に流されます。認証は器を用意する作業であって、中身を満たす作業ではありません。
整えるだけでなく、見つけてもらう導線も要ります
中国のお客様の動きを、公的な調査から見てみます。観光庁の年次報告書では、中国の旅行者が出発前に役に立った旅行情報源の1位は「SNS」で49.4%でした。そして日本滞在中に役に立った旅行情報では「飲食店」が56.8%で2位に入っています(出典: 観光庁「訪日外国人の消費動向 2025年 年次報告書」)。
旅に出る前はSNSで気になる店を知り、着いてからは飲食店の情報を探し直す。この2段構えです。旅行中に大衆点評を活用した訪日中国人は62%以上(2025年1〜3月期)という調査もあります(出典: 訪日ラボ)。大衆点評は、まさにこの調べ直される場面で開かれます。
母数が絞られている今だからこそ
市場の状況も見ておきます。JNTOの推計では、中国からの訪日は2026年1〜7月の累計で2,486,500人、前年同期比56.3%減で推移しています(出典: JNTO「2026年 訪日外客数(総数)」)。それでも7か月で240万人を超える方が来日しており、来ている人はいます。むしろ人数が絞られているぶん、調べられたときに答えられるかどうかの差が出やすい局面だと言えます。
発見の入り口はRED(小紅書)などのSNS、検討の場が大衆点評。どちらか片方だけでは導線がつながりません。
まとめ:認証はゴールではなく、答えられる状態をつくる手続き
要点を整理します。
- 大衆点評のページは、店が作らなくても利用者の投稿で存在しうる
- 無料版のままでは、店舗側で情報の編集も口コミへの返信もできない
- 公式認証を受けると管理権限が与えられ、編集・返信・クーポンなどが使えるようになる
- ただし、口コミや写真の削除はどちらの状態でもできない
- ページを整えたあと、見つけてもらう導線は別に用意する必要がある
RED BOOSTでは、大衆点評の店舗ページ整備から、REDや現地ブロガーによる発信までを一続きの導線として支援しています。自店のページが今どうなっているのか分からない、という段階でもかまいません。まずは現状を確かめるところから、お気軽にご相談ください。